2020/04/09 13:59

Jane Capsule Collection バックストーリー


毎回好評の(だと勝手に思ってる。いや、思わせてください。。)製作秘話や裏話を語るバックストーリーシリーズ。
こちらはInstagramではおなじみなのですが、Blogにもアップしていこうと思います。

今回は新作の【Jane】です🖤

初めての方も、お馴染みの方も、長くなるのでお暇な時間や
、リラックスタイムのおともにどうぞ。

そっと1冊の本をめくるように、読んでいただけたら嬉しいです。

Jane Necklaceは
心にも温もりを与えてくれるような質感が、まるで自分の身体の一部のように馴染むネックレスです。

わざと斜めにしたハートチャームは
人生のように、甘いだけじゃないピリッと苦みもあるスパイス…

そう、
それはこんな調子で始まる物語です。

私の人生において、幼少期から、ピンク(パステルピンクなんか特に!)やハートなど
女子が好みそうな上位ランキングのものはことごとく受付けなかった。

心のどこかで憧れはあったけれど、
似合わないと信じ込んでいたし、さして興味も沸かなかった。

ある時は気分にノってチャレンジするも、心も見た目もついていかない。

どうやって自分にフィットさせるか到底わからず、
持て余しては見て見ぬふりをし、放ったらかしにしてきたジャンルだった。

それはいつものようにやってきた。

ある日突然
『ハートのネックレスがほしい!!』
と強烈な思いが湧き上がってきたのだ。

私の中の女性性の壺から、放ったらかしにしてきた行いが積み重なって
とうとうそれらが溢れ出してしまった
そんな感じがした。

でも♡モチーフなんて…
ましてや
欲しいと思うデザインにも出会ったことがない…

試行錯誤するも、なかなかコレといった具合にいかない日々が一年ほど続き

(製作でのプロセスは、だいたい2、3Collectionが頭の中で同時進行しているのですが
形にしては、なんか違う…放ったらかしにする←これが意外と大切!
出来上がったら今度は自分や周りの仲間に頼んで、着け心地や修整点、アレルギー反応等を数カ月に渡って実験しつつ、
バージョンアップしてゆき、
やっっと販売できる、に至る、という、ながーーーーい道のりがあります)

ある日ふと、コーヒーを飲みながらぼーっとアトリエ部屋のインスピレーションボードにしている壁を眺めていたら
若かりし頃、セルジュ・ゲンズブールと居た頃のジェーン・バーキンの写真に目が留まった。

白いタンクトップに、ロングヘアを無造作にアップにし、
少年のようにも見える。
短くって小さなハートらしきネックレスだけで、他には何も着けていない。
本当にシンプルなスタイルだった。

髪の毛を巻いたり、
The女子なスタイルじゃなくっても、
ハートをこうやって自然にしっくり身に着けれたら、いいなぁ…

『そのままの、ありのままの自分で身に着けられる』

普段はお化粧もバリっとするのは好きでなくて、日焼け止めと口紅だけの日も。
よく頑張ってコンシーラーとビューラーにアイブロウマスカラ、
ハイライトのrmsのルミナイザーを頬骨と瞼とキューピットボウへ。
そこに必ず口紅。
ファンデーションは嫌いなんです。
TPOや気分にもよるけど、マスカラやアイライナー、チークもあまりしない。

その写真のジェーンが体現する自然体。
それこそが、そんな私が望むハートのネックレスの在り方だと思った。

そして、知っているようで知らない、ジェーン・バーキンという人の人生を知りたい、と興味が湧いた。

そこからありとあらゆる彼女に関するインタビューや本などを読み漁り、
知らなかった彼女の人生の一部分に触れることになっていくのです。

知れば知るほどジェーン・バーキンというひとは、とても真面目で、ピュアな女性だと感じた。

3度の結婚と離婚。
いつもパートナーに全力で恋をし、そのたび失意のどん底を経験してきた。

彼女はそれぞれ父親の違う3人の娘たちを育ててきた。
ケイト、シャルロット、ルー、世界でも有名な個性溢れる三姉妹だ。

ジェーンはとりわけ長女のケイトに、幼い頃に父親と別れ離れ離れにしてしまった負い目を感じていた。

“「どうしても厳しく育てることが出来なかった」
思春期、麻薬に手を染めたケイトが
「どうして私を厳しく育てなかったの!」と
怒りをぶつけたときにも、
ジェーンはただうつむくだけだった。 ”

この記事を読んでいたとき、自然と涙がこぼれ落ちてきた。

私には子どもはいないし結婚もしていないが、両親は高校生の頃に離婚している。
ケイトの想いは痛いほど理解できた。

30代も半ばになり、ジェーンの気持ちもわかる気がした。

私の母が離婚できなかった沢山あるうちの理由のひとつは、
自分のせいで、子どもたちから父親を奪うことになることがいけないことなんじゃないか、
自分のように父がいない人生を歩ませるのか、
同じような思いをさせたくない(母もまた、まだ物心つく前の幼い頃に実の父親と離れているのです)
そんなふうに当時思っていた、と
胸の内を明かされていたからか、私には
ジェーンと母
二人の女性の人生が重なって見えた。


“ そんなケイトが、2013年12月11日、自ら自宅アパルトマンの5階バルコニーから身を投げたと報じられている。
その時ジェーンはコンサートの真っ最中。
娘の訃報を知ったのは幕が下りた後のことだった。”

“ 娘が息絶えた瞬間も、自分が舞台で唄っていたという事実に、ジェーンは愕然とする。

片手にライターを握りしめ、 煙草を指に挟んだまま絶命したという娘を、
一刻も早く強く抱きしめてやりたいという思いで病院に駆けつけた。

フォトグラファーとしても名が知られ、新しい家庭をスタートさせていたケイト。

ジェーンが「娘の死は事故かもしれない」 という考えをいまだ捨て切れないのも理解できないことはない。

その後、ジェーンは精神的に不安定になり、ほとんど自宅から出ないような失意の4年間を過ごす。

3人娘のうち、ジェーンにどこか似ていて、ともに過ごす時間が多かったのもケイトだった。

ケイトはやさしく、仲間を大切にする人で、少し不器用、そして傷つきやすい女性。
日本が好きで、日本人の感性をリスペクトしていた。

いつもジェーンのそばにいて、体調がすぐれない時つききりで看病したりするのも
ケイトだった。 ”


ジェーン・バーキンは、言葉にできないほどの哀しみと喪失を経験してきた人物です。
セレブリティであっても、その前に彼女は私たちと同じひとりの人間です。

哀しみや幸せを「感じる心」は平等で、地位や人種や性別等は全く関係がない、と
私は自分の経験からもそう考えています。

“「ジェーン・バーキン」といえば、おおらかで自然な笑顔が誰にとっても印象的なはずだが、
母になる時、
ジェーンは泣く。

娘を想うとき、
ジェーンの胸にはひびが入り、どうかするとその裂け目から涙が溢れてくるのだ。”



※モノクロの写真は私の好きな故ケイト・バリーの作品をPOSTさせていただきました。
※ “ ”内の文章はジェーンとも長女のケイトとも親しかった村上香住子さんのインタビュー記事より抜粋させていただきました。
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インタビューを読みながら私は涙が止まらなかった。

そのとき、旅をしていたとき同じ宿で知り合った、カナダ人のおじさん・ジェーンからメッセージが来た。
(名前がジェーン!これほんと不思議!でも新作作りのプロセスでは
こういうシンクロが必ずといっていいほど毎回自然とやってくるんです)

ジェーン、タイミング良すぎ…
最後に会ってからの数年、なんの音沙汰も無かったのだ。
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おじさんジェーンとの出会いも印象的で忘れがたい。
朝、共有キッチンから、おじさんジェーンの明るく挨拶する声が聞こえてくる。

彼は毎日グリーンスムージーを作るのが日課で、
私はそれ飲みたさに寝ぼけながらもキッチンへ行くと、
「カナ、グリーンスムージーは素晴らしい健康を与えてくれるよ!さあ、君も飲んで!今日も素晴らしい1日の始まりだ!」と
さながらアメリカンコメディのような調子だ。
それから一緒にスムージーを飲むのが、私たちの毎朝の日課になった。

そんなある日、ジェーンとの別れは突然訪れる。
朝起きると、ジェーンの部屋のドアが全開で、荷物をパッキングしている後ろ姿が目に入った。
「今日出発するの?!」
旅というのは一期一会の出会いと別れの繰り返し。
それでもそれはあまりに突然だった。

「おはよう!カナ! そうなんだ、今日にしたよ!」
いつもの明るい調子でそう答えたあと、
「君に見せたいものがあるんだ」
そう言ってジェーンは
汚れた小さな青いクマのぬいぐるみを出してきた。

さっきまでの笑顔はなく、じっと真顔でクマを見せ続けるジェーン。
ただならぬ雰囲気と、何か言わないといけない‘間’。

しどろもどろで
かわいいね、としか言えなかった。

しばらくしてからジェーンがポツポツと語りだした。

「皆、僕が独りで旅をしていると思っているだろう?

実は僕はずいぶん昔、結婚していて、子供がいたんだ。
男の子だった。 3歳のときに亡くなったんだ。

それからしばらくして妻と僕は、
一緒にいる辛さにお互い耐えられず離婚した」

「しばらくは後悔ばかりだった。
もっとあの子にいろんなことをしてやれたんじゃないか?
もっと、もっと……。

あの子が生まれたとき、
僕は息子といろんな会話をしながら、美しい景色や未知の世界を一緒に旅するのが夢だったんだ。

ある日気づいたんだ。
息子はこの世界にはいない。
でも僕のハートに彼はいる。

僕は息子と叶えたかった夢があったことを思い出したんだ。

このクマは、あの子が一番好きだったクマなんだ。
僕にとって、これはただのクマじゃないんだよ、僕の息子なんだ。

僕が仕事をリタイアして毎年旅をしているのは知っているだろう?
そう、僕は息子と一緒に夢を叶えているんだよ!
僕はいつも息子と2人で旅をしている。
これからもずっとね。」

そう言うとジェーンはいつもの笑顔に戻り、
さっそうと去っていく彼と彼の息子を見送った。


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2人のジェーンは哀しみを真正面から受け止め
再び歩きだした、勇気をもった人たちだ。

そのとき、
今回のCapsule Collectionのタイトルは【Jane】に決まった。


私たちは誰もが皆、
大切なひとを失う経験を避けることができない生き物です。

そして
それぞれの想いや、思い出を胸に、今を生きています。

ジェーン・バーキンは、哀しみや葛藤、後悔の思いと同じくらい、
たくさんの愛と喜びにあふれ
すべてを受け入れ抱きしめ、
幸せになることを諦めず、
笑顔で前を向いて歩き続けている美しい女性のひとりです。

ジェーンのように生きているひとは
おじさんジェーンのように、
ココにも隣にも、、
身近な世界に、
そして遠い世界にも溢れています。

愛は、
親子、母と娘 、兄弟姉妹、パートナー、親友、恋人、恋する相手、
そして、誰よりも愛しい自分自身への愛。

いつも私たちの身近に、すぐそこにあるものです。

Janeネックレスは、ジェーンのように
本物の輝く笑顔をもたらしてくれます。

そしてたくさんの愛に溢れる思い出。
〜 哀しみも後悔も喜びも、涙も笑顔も 〜
そして、
愛そのものを
あなたのハートに留めるお手伝いをします。


「いつだって笑顔でいましょうよ。そうしたら10歳も若く見えるもの!」

「日本人のおかげで私が発見したことの1つは、自分自身で楽しむべきだということ。
昔は、
「ああ、決して満足することはないだろう、自分が幸せになることは認められない」と思っていた。
でも幸せになることに、そんな呪いなどまったくないのです!」

ジェーン・バーキンの人生を知ってより、この言葉たちが深く心に染みわたる気がします。